コラム

映画が葬式に変わった瞬間

映画を見に行ったと思っていたら葬式だった。
そんな体験をしたことは無いだろうか。
僕はある。

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待ちに待ったマーベル映画

その事件は2018年に置きた。
5年経ってもあの体験は忘れられない。

見に行った映画は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」
今でも大好きな、マーベルの映画である。
見たことはなくても「アベンジャーズ」の名前は聞いたことあるはず。

この映画はマーベルの映画複数作品で展開していた話の集大成で、
ヒーロー単体の映画でも十分に面白いのに、1本の映画に複数映画のヒーローが大集合するお祭り映画。
ジャンプで例えるなら、ルフィと五条悟とオールマイトと坂本が集まって戦ってるイメージ。
少し前なら、ナルトと一護とトリコとルフィが集まって戦ってる感じ。

とにかくマーベルファンが心待ちにしていた映画だった。
自分も映画を見に行く前は、それまでの作品を見返しネタバレもくらわないようにSNSも見ないようにして、
公開後すぐに劇場に向かった。

劇場での緊張感

この映画は、始まった瞬間から今までのシリーズとは空気が違った。
本編はソーの映画「マイティ・ソー/バトルロイヤル」のラストシーンの続きから始まる。
バトルロイヤルでは、国が滅んでしまったソーたちが、「これから頑張ろう!」的な感じで、何百人の国民と一緒に宇宙船で地球に向う所で話が終わっていた。
そして、インフィニティ・ウォーが始まった瞬間、宇宙船は今回の悪役であるサノスの手によって壊滅していた。

映画が始まる前はみんなワクワクしていたし、劇場にもワクワクした空気が漂っていたが、一瞬で空気が変わった。
民は半分殺され、アベンジャーズのヒーローの中では最強格のハルクもシンプルに惨敗。
単体でドラマシリーズが作られるほど、大人気キャラクターのロキは首を折られ死んでしまった。

そんな暗いスタートから始まり、話が進みどんどん状況は悪くなっていく。
「でも大丈夫、今までのシリーズでも前半に暗い展開で、後半にヒーローが最後巻き返してくれていたから、きっと大丈夫」
そんなことを思いながら映画を見ていた。

でもこの映画は違う、
ヒーローは最後、巻き返せずに映画が終わってしまったのだ。

非情な結末

映画の大筋はこう。
悪役サノスが6つ集めるとなんでもできる石を使って、世の中の生き物半分を無差別に殺そうとしていた。
このとんでもない虐殺を止めるべく、ヒーローたちが団結して戦った。
そしてサノスに敗北し、世界の生き物半分が無差別に殺されてしまい、エンディング。
エンディング後に次回への伏線もあったが、救いにはならなかった。

敗北後、戦っていたヒーローたちの半分が、石の力で落ち葉のようになって崩れ落ち、消えていく。
アベンジャーズシリーズでは、主要な人物が死んでしまうことは殆どなかった。
劇場の観客のヒーローの死に対する耐性は0。
一人死ぬだけでもきつい展開なのに、畳み掛けるようにしてヒーローが消えていく。
一人消えるたびに劇場の空気が重くなっていく。

劇場の重い空気

映画が終わり、劇場の電気がついた後、言葉を発する人はいなかった。
退出を促すアナウンスだけが鳴り響いていた。
みんな無言で席を立ち、静かに劇場から退出していった。

映画が終わった劇場は完全にヒーロー達の葬式となっていた。

作品に対する熱量が高い観客しかいない公開直後に劇場にいかなければ、この非日常体験はできなかったと思う。
この映画をきっかけに、好きな映画は必ず劇場に見に行くことを決めた。
非日常の体験を求めて。


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